現在β版として公開中 — Pro相当のAPI/MCPを無料でご利用いただけます APIキーを取得

AIで決算分析する方法 — EDINET DB MCP Server活用ガイド

2026-02-21

決算データを分析したいとき、IRページからPDFをダウンロードしてExcelに数字を打ち込む作業を繰り返していませんか。 MCPを使えば、ChatGPTやClaudeといったAIチャットから上場企業約3,850社の財務データベースに直接つながり、データの取得から分析まで会話だけで完結します。

MCPとは何か

MCP(Model Context Protocol)は、AIが外部のデータソースやツールに直接アクセスするためのオープンプロトコルです。 Anthropicが2024年末に公開し、ChatGPT、Claude Desktop、Claude Code、Cursorなど主要なAIクライアントが対応しています。

従来、AIに財務データを読ませるにはコピー&ペーストやファイルアップロードが必要でした。 MCPを使うと、AIが自分でEDINET DBにアクセスしてデータを取得し、そのまま分析に入ります。手作業はゼロ。普段使っているAIチャットの画面上で、すべてが完結する体験です。

従来のAPI連携との違い

REST APIはプログラマが呼び出しコードを書く前提で設計されています。一方、MCPはAIが直接呼び出す前提のプロトコルで、ツールの説明文やパラメータの意味がAIに最適化されています。ユーザーは「トヨタの売上推移を見て」と言うだけ。AIがどのAPIをどの順番で呼ぶかを自分で判断するので、プログラミングの知識は不要です。

EDINET DB MCP Serverでできること

EDINET DBのMCP Serverは7つのツールを提供しています。

ツール 用途
get_company 企業の基本情報と最新決算の主要指標を取得
get_financials 最大6年分の財務時系列データを取得
get_analysis 財務健全性スコアとAI分析レポートを取得
search_companies 企業名、証券コード、業種で検索
search_companies_batch 複数企業を一括検索して比較分析に使う
get_ranking ROE、配当利回りなど18指標のランキングを取得
get_documentation 財務健全性スコアのアルゴリズム、指標定義、サービス概要をMarkdown形式で取得

これらのツールは1つの会話の中で自由に組み合わせられます。たとえば「ROE上位10社を取得して、それぞれの5年分の財務データを分析して」と依頼すると、AIはまずget_rankingでランキングを取り、続けてget_financialsを10社分呼び出し、最後に横断的な考察を返してくれます。1回の質問で複数のツールが連鎖するところがMCPの強み。手作業なら30分かかる分析が数十秒で完了します。

セットアップ手順

セットアップは3ステップで完了します。ローカルへのインストールやNode.js環境の構築は不要で、AIチャットの設定画面からEDINET DBのURLとAPIキーを入力するだけです。

1
APIキーを発行する
Developersページでメールアドレスを登録すると、即座にAPIキーが発行されます。無料で利用可能です。
2
AIチャットのMCP設定にEDINET DBを追加する
お使いのAIクライアントのMCP設定画面で、EDINET DBのURL(https://edinetdb.jp/mcp)とAPIキーを入力します。クライアントごとの具体的な手順は下記を参照してください。
3
「トヨタの売上推移を分析して」と聞く
数値が返ってくれば接続成功。あとはいつものAIチャットの画面で、決算データを使った分析が自由にできます。

ChatGPT

ChatGPTはMCPに対応しており、設定画面からEDINET DBに直接接続できます。Settings > MCP Servers からサーバーを追加し、URLに https://edinetdb.jp/mcp を入力、認証にAPIキーを設定するだけで完了です。追加のソフトウェアは不要で、ブラウザ上のChatGPTからそのまま決算データにアクセスできます。

Claude Desktop

Claude Desktopでは、設定ファイルにEDINET DBのMCPサーバー情報を追加します。

{
  "mcpServers": {
    "edinetdb": {
      "type": "streamable-http",
      "url": "https://edinetdb.jp/mcp",
      "headers": {
        "Authorization": "Bearer YOUR_API_KEY"
      }
    }
  }
}

設定ファイルの場所 — macOS: ~/Library/Application Support/Claude/claude_desktop_config.json / Windows: %APPDATA%\Claude\claude_desktop_config.json

Claude Code(ターミナル)

1コマンドで完了します。

claude mcp add edinetdb \
  --transport http \
  --url https://edinetdb.jp/mcp \
  --header "Authorization: Bearer YOUR_API_KEY"

Cursor

Settings > MCP Servers > Add Server から、URLに https://edinetdb.jp/mcp を入力し、Authorizationヘッダーを設定します。Cursorはネイティブでstreamable HTTP transportに対応しているため、追加パッケージは不要です。

各クライアントの詳細な設定手順やトラブルシューティングはMCP接続ガイドにまとめています。

実際の分析例

セットアップが終われば、あとは自然言語で聞くだけ。4つの典型的なユースケースを紹介します。

例1. 個別企業の深掘り分析

トヨタ自動車の直近5年間の売上と営業利益の推移を見て、収益性がどう変化しているか分析して」

AIはsearch_companiesでトヨタのEDINETコードを特定し、get_financialsで5年分の時系列データを取得します。 返ってくるのは、たとえば売上高の年次推移と成長率、営業利益率の改善トレンドとその背景(原価低減活動と円安効果の寄与度)、ROEの安定性と自己資本比率の推移を踏まえた財務体質の評価、といった分析です。具体的な数値はAIがリアルタイムでデータベースから取得するので、常に最新の決算データに基づいた回答になります。

ここからフォローアップで深掘りできます。「その営業利益率の改善は業界平均と比べてどの程度優位か?」と続ければ、AIはget_rankingで輸送用機器業界の営業利益率ランキングを取得し、業界内でのポジションを分析してくれます。1つの会話の中で視点をどんどん広げられるのが、MCPの大きな利点です。

例2. 競合比較分析

「トヨタ、ホンダ、日産の営業利益率とROEを直近3年分比較して、経営効率の差を分析して」

search_companies_batchで3社を同時に検索し、get_financialsを3社分呼び出します。 3社の営業利益率を並べると、企業間の経営効率の差が一目で分かります。

AIは単純な数字の比較に留まらず、差が生まれる構造的な理由にも踏み込みます。トヨタの原価管理力、ホンダの二輪事業によるポートフォリオ効果、日産の構造改革の進捗。さらにget_analysisで各社の財務健全性スコアを取得すれば、自己資本比率やキャッシュフローの安定性まで含めた総合評価になります。手作業で3社のIRページを回ってExcelで比較表を作ると、少なくとも1時間はかかる作業。それが30秒で終わります。

例3. 条件を組み合わせたスクリーニング

ROEが15%以上で、かつ売上CAGR 3年が10%以上の企業を探して、それぞれの財務健全性スコアも教えて」

get_rankingでROEランキングと売上CAGR 3年ランキングをそれぞれ取得し、AIが両方の条件を満たす企業を抽出します。抽出された企業にget_analysisをかければ、高成長かつ高収益でありながら財務的に健全な企業が見えてきます。

複合条件のスクリーニング自体は、従来のスクリーニングツールでも可能です。ただ、MCPの強みはその先にあります。「この5社に共通する特徴は何か」「業種に偏りがあるか」「なぜ高ROEと高成長を両立できているのか」といった定性的な考察にそのまま進める点。数字の絞り込みと意味の解釈が切れ目なくつながる体験は、MCPならではのものです。

例4. 業界レポートの作成

「情報通信業のROE上位10社を調べて、共通する特徴を分析して。業界レポートの形式でまとめてほしい」

MCPが最も真価を発揮するユースケースです。AIはsearch_companiesで情報通信業の企業を検索し、get_rankingでROEランキングを取得し、上位企業に対してget_financialsget_analysisを連続で呼び出します。1つの会話の中で十数回のツール呼び出しが自動的に走ります。

出力は、上位10社の一覧表、ROEの分布と業界平均との比較、高ROE企業に共通するビジネスモデルの特徴(SaaS型の高い営業利益率、低い有形固定資産比率、積極的な自社株買い等)、そして注意すべきリスク要因まで含んだ構造化されたレポート。アナリストが丸1日かけて作るような業界レポートの骨格が、数分で手に入ります。

プロンプトのコツ5選

MCPに渡すプロンプトの書き方で、分析の質は大きく変わります。実践的な5つのポイントを紹介します。

1. 分析の目的を添える

「トヨタの財務データを見せて」より「投資判断のためにトヨタの収益性と財務安定性を評価して」の方が、AIの出力は格段に実用的になります。目的が明確だと、AIはどの指標を重点的に分析すべきか判断できます。業界レポート用なのか、投資スクリーニング用なのか、取引先の与信評価用なのか。それぞれで見るべき指標は違います。

2. 期間を指定する

「直近3年」「FY2020からFY2024まで」のように期間を明示してください。期間の指定がないとAIは最新年度だけ返すことがあり、トレンド分析ができなくなります。EDINET DBは最大6年分のデータを保有しているので、長期トレンドを見たいときは「6年分」と指定するのがおすすめです。

3. 比較対象を明示する

キーエンスの営業利益率を分析して」だけでも答えは返ります。ただ「キーエンスとファナックの営業利益率を比較して、差が生まれる要因を分析して」と比較対象を入れると、考察の深さが一段上がります。業界平均との比較も有効です。

4. 定性的な考察も求める

数字だけでなく「なぜそうなっているのか」を聞いてみてください。「ROEが改善している理由を分析して」「この利益率の差はどんな構造的要因から来ているか」と付け加えると、AIは数字の背景にあるビジネスモデルや業界構造に言及した回答を返します。

5. フォローアップで深掘りする

MCPの強みは会話の文脈を保持できること。最初の分析結果を見て「この中でキャッシュフローが最も安定しているのはどこか」「自己資本比率が低い企業のリスクをもう少し詳しく」と掘り下げていけます。1回の質問で完結させようとせず、対話を重ねた方が分析の質は上がります。

データの制約

MCPが返すデータは有価証券報告書(有報)がソースなので、有報の性質に由来する制約があります。正確な分析のために、把握しておくべきポイントをまとめました。

有報ベースデータの制約
  • 年次データのみ — 四半期決算短信は対象外。直近四半期の速報値が必要な場合は、別のデータソースと組み合わせる必要があります
  • 株価データなし — 有報にはPERとEPSは記載されていますが、リアルタイム株価や時価総額は含まれません
  • FY2020以降 — EDINET APIで取得可能な期間に依存。2020年度以前のデータは保有していません
  • 会計基準による差異 — IFRS採用の総合商社や銀行では営業利益がNULLになるケースがあります。これは有報での非開示が原因で、データの欠落ではありません

逆に言えば、有報の開示項目に含まれるデータについては、EDINET APIから直接取得する場合と同じ粒度で利用可能です。EDINET DBはこの生データを構造化し、企業間比較可能な形に正規化した上でMCPに載せています。財務の時系列分析、業種間比較、スクリーニングといった用途では、四半期データや株価がなくても十分に実用的です。

次のステップ

PDF決算書をExcelに手入力していた時間は、もっと分析の「中身」に使えます。MCPはデータ収集と分析の境界をなくし、「何を知りたいか」を考えることに集中させてくれるツールです。

まずはAPIキー(無料)を取得して、お使いのAIチャットに接続してみてください。セットアップは5分もかかりません。接続したら「トヨタの直近5年の売上推移を分析して」から試すと、MCPの動き方が直感的に理解できるはずです。

MCP接続ガイドではクライアントごとの設定手順とトラブルシューティングを、API仕様書では全エンドポイントの仕様を公開しています。ROEの見方EDINET APIとの違いも合わせて読むと、分析の幅が広がります。

関連記事