現在β版として公開中 — Pro相当のAPI/MCPを無料でご利用いただけます APIキーを取得

指標の見方ガイド

各財務指標が何を意味し、どう読めばよいかの解説

損益の構造: 売上から純利益まで

企業の利益は1種類ではなく、段階的に算出されます。上から下に向かって「何を引いたか」で利益の性質が変わります。

売上高 revenue
本業で得たお金の総額

商品を売ったり、サービスを提供して受け取った金額の合計。企業の「規模」を表す最も基本的な数字。

▼ 売上原価・販管費を引く
営業利益 operatingIncome
本業で稼いだ利益

売上高から原材料費・人件費・広告費などを引いたもの。本業の実力を見る指標。投資や借入とは無関係。

注意: JP GAAP企業の営業利益はPL本表から取得。有報が提出された年度のデータのみ存在し、過去年度はNULLの場合がある。
▼ 営業外収益・費用を加減
経常利益 ordinaryIncome JP GAAPのみ
本業 + 財務活動を含めた利益

営業利益に、受取利息・配当金、持分法投資利益などの営業外収益を加え、支払利息などの営業外費用を引いたもの。日本特有の概念で、IFRSには存在しない。

なぜ営業利益より大きくなることがあるか: 持株会社や投資会社は、子会社からの配当や持分法投資利益が大きく、営業外収益が本業の利益を上回ることがある。あいホールディングス等がこのパターン。
▼ 特別利益・損失を加減(IFRS: 税引前利益)
税引前利益 profitBeforeTax IFRSのみ
税金を払う前の最終利益

IFRSでは経常利益がないため、これが税金前の最終利益。JP GAAPでは経常利益±特別損益がこれに相当するが、有報の推移表には載らない場合が多い。

▼ 法人税等を引く
当期純利益 netIncome
株主に帰属する最終利益

全ての収益と費用を差し引いた最終的な利益。EPSやROEの計算に使われる。ただし特別損益の影響を受けるため、単年度だけ見ると本業の実力を見誤ることがある。

なぜ経常利益より大きくなることがあるか: 保有資産の売却益や子会社株式の売却益など、特別利益が大きい年度に発生する。一時的なものなので翌年は下がることが多い。

利益率: 効率よく稼いでいるか

売上高に対して利益がどれだけ残るかの割合。同業他社と比較して「稼ぐ力」を評価する。

指標 計算式 目安 何を見ているか
営業利益率
operatingMargin
営業利益 ÷ 売上高 5%未満: 低い
5〜10%: 普通
10%超: 高収益
本業の収益力。業種で大きく異なるので同業比較が基本
純利益率
netMargin
純利益 ÷ 売上高 業種により大差あり 最終的な取り分の割合。特別損益に左右されるので、推移で見ること

投資指標: 株価は割安か、経営は効率的か

EPS(1株あたり利益)
eps = 純利益 ÷ 発行済株式数

1株が生み出す利益。PERの計算に使う。増加トレンドなら企業価値が高まっている。株式分割があると見かけ上下がるので注意。

PER(株価収益率)
per = 株価 ÷ EPS

「利益の何年分の株価がついているか」。低いほど割安だが、成長企業は高PERが許容される。日本株平均は15倍前後。赤字企業は算出不可。

15倍以下: 割安圏 / 15〜25倍: 適正 / 30倍超: 高成長期待 or 割高
BPS(1株あたり純資産)
bps = 純資産 ÷ 発行済株式数

1株あたりの帳簿上の価値。株価 ÷ BPS = PBR(株価純資産倍率)で割安判定に使う。PBR 1倍未満 = 解散価値より株価が安い

ROE(自己資本利益率)
roe = 純利益 ÷ 純資産

株主のお金をどれだけ効率的に使って利益を出しているか。8%以上が合格ライン(東証プライム市場の要請水準)。借入を増やしても上がるので、自己資本比率とセットで見ること。

5%未満: 低い / 5〜8%: 改善の余地 / 8%超: 合格 / 15%超: 優秀
ROA(総資産利益率)
roa = 純利益 ÷ 総資産

借金を含めた全資産でどれだけ利益を出したか。ROEと違い借入の影響を受けないので、純粋な資産効率を見れる。5%超なら優秀。

自己資本比率
equityRatio = 純資産 ÷ 総資産

資産のうちどれだけが自己資金か。高いほど倒産しにくい。40%以上なら安全圏。銀行は預金が負債になるため10%程度でも正常。

20%未満: 要注意 / 20〜40%: 普通 / 40%超: 安全 / 70%超: 非常に堅い

配当: 株主への還元

1株配当
dividendPerShare

1株あたりの年間配当金額。増配が続いている企業は株主還元に積極的。

配当性向
payoutRatio = 配当 ÷ EPS

利益のうち何%を配当に回しているか。30〜50%が一般的。100%超は利益以上に配当を出しており持続性に懸念。

配当利回り(参考)
= 1株配当 ÷ 株価 × 100

株価に対する配当の割合。本DBでは株価を保持していないため、株価情報と組み合わせて算出する。3%超なら高配当。

キャッシュフロー: 実際にお金が動いたか

損益計算書の利益は「帳簿上」の数字。キャッシュフローは実際に現金がどう動いたかを示す。粉飾が難しいため、利益よりも信頼性が高い。

営業CF cfOperating
本業で入ってきた現金

プラスが正常。マイナスが続く企業は本業で現金を生めていない。利益が出ているのに営業CFがマイナスなら、売掛金の回収が遅れている可能性。

投資CF cfInvesting
設備投資やM&Aに使った現金

マイナスが正常(成長のために投資している証拠)。プラスの場合は資産売却を進めている可能性。

財務CF cfFinancing
借入・返済・配当の出入り

借入金で資金調達するとプラス、返済や配当支払でマイナス。安定企業はマイナス(借金を返済しつつ配当を払う余裕がある)。

FCF(フリーキャッシュフロー) fcf = 営業CF + 投資CF
自由に使えるお金

本業の稼ぎから必要な投資を引いた残り。プラスなら健全。配当、借金返済、自社株買いの原資になる。マイナスが続く場合は外部から資金調達が必要。

CFパターンの読み方
営業CF 投資CF 財務CF 状態
優良企業型。本業で稼ぎ、投資しつつ借金も返す
積極投資型。借入してでも投資を加速
リストラ型。資産売却で延命
要注意。本業不振で借金頼み

資産と安全性

総資産
totalAssets

企業が持つ全ての資産(現金、設備、在庫、投資など)の合計。「企業の大きさ」のもう一つの尺度。ただし借金で膨らむこともある。

純資産
netAssets

総資産から負債(借金)を引いた残り。株主に帰属する資産の簿価。マイナスになると債務超過(上場廃止の要因)。

その他の指標

包括利益
comprehensiveIncome

純利益 + 為替差損益 + 有価証券の含み損益の変動 + 年金の調整額。純利益に反映されない「含み損益の変動」を加えたもの。グローバル企業は為替で大きくブレる。

希薄化EPS
dilutedEps

新株予約権やストックオプションが全て行使された場合のEPS。EPSとの差が大きい企業は、将来の株式希薄化リスクがある。

企業分析の基本チェックリスト

成長性を見る

  • 売上高が毎年増えているか(成長企業の大前提)
  • EPSが増加トレンドか(株主価値の向上)
  • 営業利益率が改善しているか(規模拡大と同時に効率化できているか)

安全性を見る

  • 自己資本比率 40%以上か(財務の安定性)
  • 営業CFが安定してプラスか(利益が現金で裏付けされているか)
  • FCFがプラスか(自力で事業を回せているか)

効率性を見る

  • ROE 8%以上か(株主資本の効率的な活用)
  • ROAは同業他社と比べてどうか(資産効率)

割安さを見る

  • PERは同業平均と比べて高いか低いか
  • 配当性向は持続可能な範囲か(50%以下が目安)

データを見る際の注意点

  • 業種で基準が全く異なる: 銀行の自己資本比率10%は正常。IT企業の営業利益率5%は低いが、小売業なら優秀。必ず同業種内で比較すること。
  • 単年度で判断しない: 特別損益や一時的な要因で数字が大きくブレることがある。3〜5年の推移で判断する。
  • 会計基準の違い: JP GAAPには経常利益があるがIFRSにはない。IFRSには税引前利益があるがJP GAAPの推移表にはない。異なる基準の企業を比較する際は注意。
  • 営業利益のNULL: JP GAAP企業の過去年度で営業利益がNULLの場合、データ未取得が原因。日次バッチで過去有報のCSVが蓄積されれば改善される。
  • EDINET公式値と算出値: ROEと自己資本比率には「EDINET公式値」と「算出値」の2種類がある。公式値はEDINETに提出された値そのもの。算出値は本システムが純利益÷純資産等で独自に計算したもの。